研究業績5

A03_01グループの沖真弥さんの論文が掲載されました!

Elucidating disease-associated mechanisms triggered by pollutants via the epigenetic landscape using large-scale ChIP-Seq data

Zhaonan Zou, Yuka Yoshimura, Yoshihiro Yamanishi, Shinya Oki

Epigenetics & Chromatin 2023 Sep 25;16:34

環境汚染物質は健康に悪影響を及ぼすにもかかわらず、その作用機序は十分に理解されていません。これまでに、汚染物質曝露と疾患の関連を遺伝子発現レベルでプロファイリングする解析が行われてきましたが、汚染物質による遺伝子発現変動を司る制御因子の特定には至っていません。汚染物質の作用機序に迫るために、我々はエピゲノムデータ(ATAC-Seq)とChIP-Atlasに網羅された数万件の公開ChIP-Seqデータを組み合わせた統合解析手法を提案しました。これにより、汚染物質曝露に応答しクロマチンアクセシビリティが変動するゲノム領域(Differentially Accessible Region: DAR)に共通して結合がエンリッチする転写因子の特定に成功しました。例えば、PM2.5は血球分化制御因子のゲノムへの結合を阻害することで、正常な血液細胞の分化を乱し免疫機能障害を引き起こすことや、鉛は肝臓における概日リズムを擾乱することで、脂質代謝に異常をきたし脂肪肝を誘発することなどの作用機序が推察されました。このように本提案手法は、汚染物質が悪影響を及ぼす上で中心的な役割を果しうる転写因子を明らかにする可能性があり、これを活用すれば環境汚染被害を軽減する戦略の開発につながると期待されます。

DOI:10.1186/s13072-023-00510-w

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