A01 生殖細胞機能による生殖ライフスパン
染色体機能の維持と崩壊のメカニズムを解明

A01_01 染色体が制御する生殖ライフスパン

生殖細胞機能を減衰させる代謝、エピゲノム、遺伝子制御の崩壊、染色体機能の長期維持機構とライフ時間依存的な破綻機構の解明

卵母細胞における染色体機能の長期間維持と、ライフ時間進行にともなう崩壊のメカニズムを解明する。研究モデルとしてマウスを用いるとともに、長寿命齧歯類ハダカデバネズミを用いた生殖研究を開拓する。

A01_02 生殖細胞機能の獲得・維持

生殖細胞機能を獲得するための遺伝子ネットワーク、細胞環境、代謝状態の動態とその制御維持機構の解明

成体卵巣で卵母細胞が長期間の発生休止状態に入る過程をin vitro再構築し、その機構をin vivoイメージングと連携して解明する。生殖細胞機能を獲得するための遺伝子ネットワーク、細胞環境、代謝状態の動態とその制御維持機構を明らかにする。

A01_03 生殖細胞機能の維持・調節

生殖細胞機能を維持するための栄養環境、代謝―エピゲノム制御、プロテオーム・メタボローム制御と調節機構の解明

代謝解析を含む独自のマルチオミクス解析技術を駆使し、生殖細胞の生殖ライフスパンを通した代謝特性の変化とその制御を明らかにし、栄養環境への介入からの生殖ライフスパンの調節を目指す。

A02 次世代のための生殖ライフスパン
生殖細胞から次世代へ伝わる変異の制御機構とリスク評価・抑制

A02_01 次世代のための生殖細胞クローン動態 

ライフスパンを通した生殖細胞の系譜追跡と有害変異が生じた精子幹細胞クローンの動態解析

生殖ライフスパンを通した精子幹細胞の維持機構と集団動態を明らかにしてきた。生殖細胞のクローン動態、とりわけ精子幹細胞の集団がホメオスタシスを維持するときに、変異が生じた幹細胞クローンが拡大する機構を解明する。

A02_02 次世代のためのゲノム恒常性

精子幹細胞においてゲノム変異を抑制する機構の解明、生殖ライフスパンの長い霊長類に特有なゲノム維持機構の解明

精子幹細胞のゲノム変異を抑制する分子基盤とその機能変容が精子形成や次世代に与える影響を解明する。また生殖ライフスパンの長さが異なるマウスとマーモセットを比較し、霊長類の精子幹細胞の動態制御と変異抑制メカニズムを明らかにする。

A02_03 次世代のためのミトコンドリア継承

生殖細胞におけるライフ時間進行にともなう変異型ミトコンドリアDNAの動態と次世代への選択的継承機構の解明

ミトコンドリアDNA(mtDNA)は母性遺伝によって母から子へ継承される。母マウスのライフ時間進行に伴って変異型mtDNAの次世代への継承頻度が変化するという興味深い現象を見出しており、このメカニズムを解明する。

A03 生殖ライフスパン研究のための技術開発
生殖細胞の質の獲得・維持・減衰の理解に基づいた操作方法の開発

A03_01 空間オミクス解析技術

生殖器官・組織・細胞における空間トランスクリプトーム、エピゲノムを取得する技術の開発

組織や細胞内において局所的なトランスクリプトームやエピゲノム情報を取得するPhoto-isolation chemistry (PIC)法をさらに先鋭化させ、生殖細胞機能の時空間的な動態を解析する。

A03_02 RNA合成・分解キネティクス計測技術

精子幹細胞においてゲノム変異を抑制する機構の解明、生殖ライフスパンの長い霊長類に特有なゲノム維持機構の解明

独自に開発したRNAの合成と分解の速度を同時定量できるRNA kinetics recording法を一細胞レベルの解析に発展させる。さらにA03_01のPIC法と融合することで、生殖細胞において空間的に解像したRNA合成・分解の速度を測定する。

A03_03 生殖ライフスパンの操作技術

卵子および初期胚のエピゲノム・RNA動態の操作技術の開発、体細胞クローン胚を用いた卵子の評価系の開発

マウス核移植によるクローン胚の作成をモデルに生殖工学技術を開発し、A01_01と共同で老化卵子の染色体分配を正常化する技術に取り組むなど、生殖ライフスパンを操作する技術を開発する。